【完】触れたいのはキミの鼓動

須賀の取り巻きが、どんなに怖いかは知ってる。
私は、ただのお隣さんにしか思われてないし、逆に彼女達の知らない須賀を教えてくれと言われるようなポジションにいるから、嫌がらせを受けた事は一度もないけど…。
吉田さんみたいに、なかなか取り巻きの一人として輪に入れなくて、純粋に須賀のこそを想ってる子達からは、偶に「勘違いしないで」的な事を言われたり、する。

だから、私は「隣にいる」以外は須賀と接点を持ちたくなかった。
隣にいる間は、私の知ってる須賀で。
それ以外は、全く知らない人。


「小桜、あんましそっち寄ると危ないよ?」

「あんたとくっ付く方が危ないわ!」

「なんで、そんなに怒ってんの?」

「うるさいな!」


なんだか、色々と思い返していたら、ムシャクシャしてきて、声を掛けて来た須賀に半ば八つ当たりのように声を上げてしまう。


あぁー…。
可愛くないなぁ。
なんだって、須賀は私の事構うんだろう?
つーか、「可愛い」って言えば、誰でもなびくと思ってんのか?
だったら、滅茶苦茶性質が悪い!


「ばか須賀!」

「えー?なんで?」

「バカはバカなの!」


そんなやり取りをしていたら、なんだか凄く虚しくなった。

「可愛い」とか。
「好き」だと言われる度に。

私の中の想いは様々に拗れてしまって、どんどん信じられなくなるんだ。
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