【完】触れたいのはキミの鼓動
私の言葉に、ピクリと須賀が反応するのを感じる。
「…小桜、前にも石井ちゃんの車、乗った事あるの?」
「え?うん。その時は、バスケで怪我しててって…ちょっと?!」
「石井ちゃん、やっぱオレ一人でいいや。小桜ごめんね、また明日。バイバイ」
滅茶苦茶テンションが低くなった須賀に戸惑うけれど、
「そっかー?んじゃあ、神谷は?俺と二人だけど、どーすんだよ?」
って、ニヤリと笑ってくるから、なんかその笑顔が嬉しくて…。
「えっと、須賀、ほんとに乗んないの?じゃあ、私一人で乗ってくよ?…じゃあ、石井ちゃん行こう!」
と、石井ちゃんの腕にじゃれついた。
「だから、お前の車じゃねーんだよ、このばか。…ま、いーか。んじゃあ、須賀…”いい”んだな?じゃーな」
「………」
「須賀!また明日ねー?」
私は、久し振りにラクをして帰れる事と、石井ちゃんの車に乗れる事でテンションが上がってしまい、須賀に軽く手を振って石井ちゃんと一緒に駐車場へと向かった。
そんな私の後姿を、須賀がそんな顔をして見ているのかなんて、考えもせずに…。