【完】触れたいのはキミの鼓動
第2章「ふぞろいな愛情」
狂いそうな想い side:小桜
「しっかし、お前も須賀も鈍感だよなー…いいのか、こんなんで?」
それは、石井ちゃんの車に乗り込んですぐの事。
石井ちゃんは気だるそうに、片手でネクタイを緩める。
「あー…スーツとか、堅っ苦しくてキライなんだよなー」
「あ。そういえば、石井ちゃんはいつでもクールビズだもんね」
「うるせぇよ」
で?と、その硬そうな張りのある髪に手をやって、石井ちゃんはもう一度私に問い掛けて来る。
「いいのか?あんなんで。須賀のこと」
「だって、だって…私ら別に付き合ってるわけじゃないし。須賀には好きな子…というか、彼女?いるみたいだし…」
「けど、お前は好き、なんだろ?」
「え?…んーー。それを言われると、弱いなぁ。けど、相手、吉田さんじゃねぇ…勝てる気がしない。てか、そもそも勝負にならない?」