【完】触れたいのはキミの鼓動
「い、石井ちゃん?なんで此処が?てか、な、泣いてない。泣いてないよ?」
「お前の行きそうな場所なんざお見通しだ、ってばか、瞳こすんな。そんなに瞳赤くして鼻すすってるヤツが強がってんじゃねーよ」
「…っ。やだな。これはただの花粉症!」
「がっつり万年健康優良児のお前が?ばっかじゃねーの?何年一緒にいると思ってんだ。俺のことみくびんなよ?そんな見え透いたウソすぐにバレんだよ、ばーか」
くしゃり。
髪を撫でられて、胸がドキンドキンと鳴って行く。
でも、それを敢えて知らないフリをして、私はむくれて見せる。