【完】触れたいのはキミの鼓動
「ひ、ひど!バカバカって、石井ちゃん、すぐに人の事そう言うんだから!」
「それだけ好きだって事だろ?」
「!!」
「だから、大人の本気なめんなっつってんの」
そうにやりと笑う石井ちゃんが凄く意地悪なのに、格好いいと思えてしまう私ってヘン?
「だ、だって!私生徒だし、石井ちゃん先生だし!」
「今更、先生扱いすんなって。あと数ヶ月にゃそれも終わりだろ?大体俺は端からお前の事生徒の一人だなんて思っちゃいねぇよ。いい加減気付け、ばーか」
そう言って、石井ちゃんは私の額をちょんと指で弾く。
そこから、何故かビリッと何かが走っていく。
「~~~!!」
「まぁ、泣き止んだならいい。お前、あんま無防備にしてんなよ?」
「は?」
そう言うと、じりっと石井ちゃんは私に近寄ってくる。
そして、ボソッと囁いた。
「…心配で、授業どころじゃなくなんだろ?」
「ちょっ!石井ちゃん!耳元でやめてよ!くすぐったい!」
真っ赤になる私を心底面白そうに見つめて、石井ちゃんは笑った。