【完】触れたいのはキミの鼓動

「ねぇ？今さ、石井ちゃんと一緒だったよね？…何、話してたの？」


その問い掛けに、分かり易く動揺する小桜。


「えっ！？…やーー…あの…その…」


そんな小桜に、またイライラしながら、オレは言葉を続けた。


「オレには言えない？」

「えっと！えっと、えっと、えっと！！…あ！も、もう授業始まるよ！ほら、前向いて！」


教室内に急いで入り込む小桜。

まるで、拒まれたかのようなショックを受けた。
小桜は、オレから顔を背けて、それ以上何も言わない。
そして、不自然に体勢を変えて、石井ちゃんが入ってくるだろうドアの方を向いていた。

何か言おうとしているオレのことを半ば無視するみたいに。


あぁ、本当にもう、嫌だ。