【完】触れたいのはキミの鼓動
それだけ告げると私は教室の入り口の所でドアに寄り掛かっている担任の石井ちゃんこと石井真弦(いしいみつる)先生の所に向かう。
よりにもよって、なんで、このタイミングで呼び出し食らうかなぁー。
折角、須賀と二人でゆっくり会話が出来ると思ったのに。
チラリ。
後ろ髪を引かれる思いで須賀の方を見たら、もう既に人だかりが出来ていて…。
私は、「は_____…」と長い溜息を吐いた。
「お前、俺に呼び出されて、溜息なんかついてんじゃねーよ」
ぽか
「あいたっ!もー!石井ちゃんてば、酷い!何も叩く事ないじゃんか!」
丸めたプリントで叩かれた場所を大袈裟にさすりながら非難すると、フンッと鼻で笑われた。
「別にいたかねぇだろ。元々大して入ってない脳みそだしな。てか、お前なんで俺に呼び出し食らってんのか、分かっててそういう態度取ってやがんのか?」
「えー?…なんだっけ?」
ぽか
「痛い!もう!人の頭を木魚みたいに扱わないでよー!」
「そりゃいいな。いい音するもんな、お前の頭は」
くくくっと笑う石井ちゃんは、私たちが一年になる年に新任教師として赴任して来て、一緒にずっと過ごして来たせいか、とてもフランク(過ぎる時もある)で、何かと頼りになる存在だ。
毒舌で、意地悪で、俺様だけど…。