【完】触れたいのはキミの鼓動
あぁ…なんだってこんなにイライラするんだろ。
「何か言いたげにしてたじゃん」
「や…小桜はいつも可愛いなーってさ」
その一言に何かがぷつん、と切れた気がした。
「もういや。そういうのいらないから。言いたいんなら、他当たって」
「小桜?」
傾けられた顔に、今日はもうときめくことはなかった。
どうしちゃったんだろう?私…。
「かわいいとか好きだとか、いい加減にしてって言っての。全くどいつもこいつも、人の事なんだと思ってんだろ。からかってばっか。信じらんない」
そう言いながら、私の瞳にはじんわりと涙が浮かんできそうだった。
それをぎゅうっと制服のスカートを掴む事で堪えて、一呼吸置いてから…須賀の顔を見る事もなく私は言い放った。
「もう!須賀の隣にはいたくない!」
それだけ言うと、そのままカバンを持って教室を飛び出した。
まだ、これから授業があるのも構わずに。