【完】触れたいのはキミの鼓動
第4章「恋しくて」
その胸の中で… side:小桜
「ねぇ?最近すがっちのとこにいないけど、ケンカでもしたの?」
そう聞いてくるのは、クラスメイトの美久ちゃん。
「なんか、すがっち、カリカリしてるけど、それ関係ある?」
そう聞いてくるのは、美久ちゃんの彼氏の中田くんだ。
「え?…あ、あぁ…うーん。ケンカはしてないよ。ただ、色々あってねー」
曖昧に濁す私は卑怯だ。
そう心底思う。
でも。
分かっている、けど…。
「おーい。神谷。職員室までこれ運ぶの手伝えよ」
「はぁ?石井ちゃん!人使い荒い!」
「んなこと言っていいのか?あぁ?」
「…う。分かりましたー。『石井先生』、お手伝いしまーす」
ごめんね?と二人に手を合わせて、その場を去る。
残った二人が何かに気付いたように目配せをしていると知らずに。