【完】触れたいのはキミの鼓動
震える肩に side:真弦
抱き締める度に神谷は葛藤を繰り返す。
抱き締める度に神谷の体はふるふると震えてしまう。
頭の中では分かってんだけどな…。
神谷が須賀を忘れられない事。
多分、俺じゃ…代わりになれない事。
けど、そんなもん取っ払って、神谷が好きで。
ガキみたいに求めてて正直自分でも参る。
「はっ。ヤキが回ったな。俺も…」
自嘲気味に呟く。
わしゃっと掴んだ髪に自然と力が入った。
葛藤したまま俺の方に傾きゃいいのに。
神谷の心は今、物凄い危うい場所にあって、手が付けられない。
誤って手を差し出してしまったら、俺の望む回答が出てこない気がして躊躇してばかりいた。