【完】触れたいのはキミの鼓動

「苦しいよ、須賀。からかってんの?」

「からかってない。これ、オレの本気。もう出し惜しみしない。全力投球しちゃうから。離せないから」

「すが…」

「オレは。大人じゃないし、余裕なんかないけど。その分全力出し切る覚悟はあるし、これから小桜を守ってく自信もあるよ」


須賀の言葉がダイレクトに胸の中へ染み込んでいく。
私は、涙を我慢する事が出来ない。


「だからさ、小桜?オレと付き合ってください。お願いします」


ぺこり


小さく頭を下げられて、今まで溜まっていた愛しさが溢れ出していくのを感じた。


くしゃくしゃ。


須賀の猫っ毛をかき乱す。
それに対して、捨てられた仔犬みたいな顔を上げる須賀。


「負け。私の。…私も好きだよ…須賀のこと。色々遠回りしちゃったけど、やっぱり私須賀のことが…大好きです…」



そう泣き笑いみたいに、微笑み返すと、それを掬い取るように真正面から抱き締められた。



触れていたいのは、いつだって。


いつだって、キミだけの…。


温かくて、居心地のいい…鼓動だけ…。



Fin.
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