【短】繰り返しの雨宿り


「恋の話。興味ある?」

「はい、ぜひ聞かせてください」




 私はこうやって恋の話を聞いたことがなかった。だから、少し楽しみだ。



 特に男性とは縁がないというか、こうして相席するなんて奇跡がなかったら永遠に話すことはなかったのではないかと思うほどに関わりがない。



 私は……。




「俺の初恋は高校生の時だ」




 ふと自分の世界に入りかけたところで、男性が話し始める。私はすぐ、男性の声に集中した。




「同じ学校にアイドルみたいに可愛い子がいてさ。勉強そっちのけで夢中になったよ」

「へえ、羨ましいです。私、青春っていう青春を経験してこなかったので」

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