【短】繰り返しの雨宿り


「お嬢さん、いつかは終わる。信じることだ」

「……はい。ありがとうございます」




 私はマスターがいれてくれたカフェオレに口を付ける。



 甘い。
 とても甘くて、美味しくて、心が温かくなる。




「自殺なんて、するんじゃなかった」




 呟いた直後、私は駅のホームにいた。



 各駅停車の電車は行ったばかり。しばらくは特急電車の通過が続く。



 もうすぐ。



 ホームに駅員さんの声が響き、特急電車が見えてきた。




「怖い……っ」




 何度も、何度も、何度も。



 自殺をしたその日から、私の魂は繰り返し電車に飛び込む。
 何回も同じように特急電車に轢かれ、同じ痛みを感じ、気づけばあの店にいる。

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