【短】繰り返しの雨宿り
「ごめんなさい」
記憶をなくした私に男性が教えてくれる。
何度も、私のことを教えてくれるのだ。
名前を知ることも許されないけれど、男性は私を待っていてくれる。それだけが救いだ。
自ら命を絶つことは罪深い。
両親や友人たちみんなを悲しませた。勝手に、自分の都合で命を捨てた。
だから私は罰を受けるのだ。
何度も同じように自殺をして、どんなことをしたのかを魂に刻み込むために。
「また雨が降る」
私はいつも雨を感じる。
その日が晴れていても曇っていても、雨。