【短】繰り返しの雨宿り


 男性は見た所、四十代。



 先程から競馬の雑誌を横目に珈琲を飲んでいる。無精髭にたれ目と、どことなく仕事をしているようには見えない。



 とにかく何かを注文しようと、私はテーブルの横にあるメニューを開く。



 定番の珈琲から、ちょっとした軽食まで揃えている。卵焼きサンドというものが気になりつつも、まだ夕飯まで時間はあるし食事はやめておくことにした。



 ドリンクメニューに目を通す。様々な種類の珈琲があるが、今は飲みたい気分ではない。




「メニュー決まった?」




 男性がメニュー表の向こうから話しかけてきた。

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