【短】繰り返しの雨宿り
「せっかくなんだし、話を聞いてくれないか?」
男性は珈琲を飲みながら、読んでいた雑誌を閉じる。それから、なぜか嬉しそうに顔を覗きこんでくる。
普段なら、変な人。気味が悪い。相手にしたくないと、マイナスなことばかりを表に出していた。
でも、その男性のことは特に気にはならない。むしろ、話を聞きたいと思っていた。
不思議と惹かれる。
「おい、出すぎたことは話さない方がいいぞ!」
私たちの会話が聞こえたのか、マスターが男性に注意する。
しかし、男性は茶目っ気たっぷりなウィンクを返す。
私にはマスターが注意をした意味はまるでわからない。