星空シンデレラ

転校生と言っても、高校にもなればそう大々的に騒がれるわけじゃない。始業式は何事もなく終わり、軽くクラスで紹介してもらうだけで終わった。
そもそも私以外の人も、多くは初対面なわけだし。
うちのクラスはざっと見て、優しそうな子が多そうで助かった。私は近くの席になった子やその友達と会話をしたり、連絡先を交換してから別れた。
初日から優しそうな友達ができて、一安心だ。

私が友達と別れたところに、遼夏がひょこっと顔を出した。

「沙良!これから帰り?」

「うん、そうだけど…」

「どうせなら、部活見学していかない?前の学校では家庭科研究部だったんだろ?でもうち、家庭研がないからさ〜」

「そうなんだ。入るつもりなかったけど…まぁ学校に慣れるのも兼ねて、見学くらいならいいかな」

「よし!そうと決まればまずは演劇部だ!演劇部に行くぞ!」

「いいけど…」

…なんか強引だな。何か企んでる?
そうは思いつつも、遼夏が私に悪いことをしようすることは考えられないので、結局は演劇部が活動しているという一階の空き教室に向かったのだった。
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