星空シンデレラ
「おいーっす!」
「おっそーい!」
「痛ぁあっ!」
遼夏が教室のドアを開けるなり、パァン!という乾いた音が響き渡った。私がギョッとして教室を遼夏の背後から覗き込むと、綺麗な茶色い髪のショートカットを赤いヘアピンで留めた小柄な女の子が、ハリセンで遼夏の頭を叩いたようだった。
「現時点で1分36秒の遅刻!他の部員はとっくに集まって練習を開始してるっつーの!
ほら、さっさと着替えてお仕置きランニングに行ってこい!」
「げっ!」
「げっじゃない!ほら、こうしてる間にも遅刻タイムは増えてるわよ?着替えて練習の準備を済ませるからが活動時間になるんだからね!あー、もう2分!」
「わ、わかったよ、行くよ行くよ!沙良、後ろ向いてて、すぐ着替えちゃうから!あと俺はいなくなるけど好きに見学してていいから!よし着替えた!」
「早っ!」
私がそう叫んだのも聞こえていないようで、教室の中にバッグと脱ぎ捨てた制服を放り出したまま、遼夏は猛スピードで廊下を走って行ってしまった。