星空シンデレラ
誰もいなくて静かな体育館裏。
木々が多いせいで大きな声を出しても吸収してくれそうだし、確かにここで練習するのがちょうどいいかも。
先輩は、いつも新入生が初めに取り掛かるという小さな台本を渡してくれた。
タイトルは、『星空シンデレラ』。
聞いたこともないタイトルだし、台本をざっと読んでみても内容に覚えがない。
「…これ、誰が書いたんですか?」
「俺だよ」
「え!」
「実はうちの演劇部って、俺が一年の時に作った部活でさ。正確には、その時はまだ同好会で、やっちゃんたちが入学して来た年に部活として認められたんだけど。だから練習メニューも、部活内の定番の台本も、去年から使ってる小道具やセットも、全部俺が作ったやつなんだよね」
「お、お一人でですか?」
「そうそう。書類上、頭数がないと同好会は作れないから、知り合いに名前だけ書いてもらってさ。あとは全部一人で運営してたんだ。あ、告知ポスターとかも一人で大量に印刷したなぁ」
天海先輩は懐かしそうに、楽しそうに笑っているけど、それって結構ただ事ではない。
「役者と裏方を、全部一人でやってたってことですよね?」
「そうそう。さすがに当日の照明とか音響は役者ができるわけもないから、先生や友達に頼んでたけど」
…遼夏が天海先輩を「天才」と言っていたのも、わかる気がした。
木々が多いせいで大きな声を出しても吸収してくれそうだし、確かにここで練習するのがちょうどいいかも。
先輩は、いつも新入生が初めに取り掛かるという小さな台本を渡してくれた。
タイトルは、『星空シンデレラ』。
聞いたこともないタイトルだし、台本をざっと読んでみても内容に覚えがない。
「…これ、誰が書いたんですか?」
「俺だよ」
「え!」
「実はうちの演劇部って、俺が一年の時に作った部活でさ。正確には、その時はまだ同好会で、やっちゃんたちが入学して来た年に部活として認められたんだけど。だから練習メニューも、部活内の定番の台本も、去年から使ってる小道具やセットも、全部俺が作ったやつなんだよね」
「お、お一人でですか?」
「そうそう。書類上、頭数がないと同好会は作れないから、知り合いに名前だけ書いてもらってさ。あとは全部一人で運営してたんだ。あ、告知ポスターとかも一人で大量に印刷したなぁ」
天海先輩は懐かしそうに、楽しそうに笑っているけど、それって結構ただ事ではない。
「役者と裏方を、全部一人でやってたってことですよね?」
「そうそう。さすがに当日の照明とか音響は役者ができるわけもないから、先生や友達に頼んでたけど」
…遼夏が天海先輩を「天才」と言っていたのも、わかる気がした。