秘密の恋 〜社長に恋して〜
「あっ、この香!あの時の…。今もつけてますよ。あっ、もうしないかな?」

甘い花のような、でもすっきりとした香りを瑞穂は吸い込んだ。

「最後の仕上げです。」
そう言うと、詩織はその香水を少しだけ、瑞穂の首筋に付けた。
ふわっとした香りが瑞穂を包んだ。

瑞穂はゆっくりと目を閉じてその香りを吸い込んだ。

「あなたに幸せが訪れますように。」
詩織は最後、瑞穂に声を掛けた。
「ありがとうございます。」
瑞穂は微笑んだ。
「もうそろそろ、前回の香水なくなりますよね?よければまた使ってください。」
詩織はさっきの小さなピンク色の小瓶を瑞穂に渡した。

「うれしい!ありがとうございます。」
瑞穂はそっとカバンにしまうと、店の外に出た。
さっきまで土砂降りだった雨はきれいに上がり、どんよりしていた空には星が瞬いていた。

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