秘密の恋 〜社長に恋して〜

そっと目を開けた瑞穂の視界は暗く、触れている感触は少し硬くそして温かった。

「おい、大丈夫か？」

その声で、ようやく自分が人の上に落ちた…嫌、押し倒すように支えてもらったことに気づいた。
その人は、瑞穂を抱きしめていた腕を離し、床につくと体を瑞穂ごと起こした。

その人の、膝の中に納まるような格好になってしまい、瑞穂は慌てて頭を下げた。

「すみません！ありがとうございます！」

「新入社員だろ？大丈夫か？」

「あっ！始まっちゃう！」
慌てて瑞穂は立ち上がり慌てた。
その様子を、彼はクスクス笑うと、
「怪我はなさそうだな。もう転ぶなよ。」
立ち上がり、瑞穂の頭をポンと叩くと颯爽と歩いて行った。

その時の男性が、のちに自分の上司となり、就職した会社の社長と知る３０分前だった。