秘密の恋 〜社長に恋して〜

切ないだけの恋

「おはようございます、社長。」
瑞穂はいつも通りの笑顔で由幸を社長室で迎えた。

「おはよう。」
少し低い声でそっけなく答えた由幸に、

「今日はご機嫌がよろしくないんですね?」
瑞穂は表情を変えずに聞いた。

「ああ、金曜日がハズレだったから。」

「そうですか。」

(- ハズレ…。あたしが初めてだったから、よくなかったって事?)

「いつもみたいに、そんなことで!って怒らないのか?」
由幸は意外そうな目を向けた。
「ああ、…そうですね。そんな事で仕事に支障をきたさないでください。そんなことより、こちらの資料に目を通してください。あと30分で会議が始まります。」

(- なんとか冷静に言えたよね。)

「わかったよ。」
その答えを聞くと、瑞穂は資料を社長のデスクに置き、踵を返し隣の部屋の自分のデスクに戻った。

(- なによ。ハズレって…ひどい。社長のバカ…。)

瑞穂は落ちそうになる涙を必死に食い止めた。

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