秘密の恋 〜社長に恋して〜

重なる恋

瑞穂はタクシーに乗ると、約束のホテルに向かった。

コツコツとヒールを鳴らし、ロビーに向かう。
広く高いホテルのエントランスは、煌びやかな輝きを放ち、瑞穂はドキドキした。

瑞穂は、ロビーのラウンジの窓際に一人座る由幸をすぐに見つけた。
濃紺の仕立ての良いスーツに身を包み、長い脚を組み、外を見ていたその人は目を引いた。

少しの間、その姿を見た。

意を決して、瑞穂は由幸に近づいた。

「社長、急にどうされたんですか？」
その声に由幸が振り向いた。
驚いたように目を見開き、じっと瑞穂を見た。
いつも何も映していない瞳に映った自分を見て、瑞穂はドキっとした。