ColorLess
こんな生き方もあったのではないか、と時折考えることがある。
私もあの時、学校に通うことを許されていれば何か違っていたのではないだろうか。
まさにバタフライエフェクト。
ありもしない可能性を考えても意味はないが。

手に持ったままのパーカーをレジに出す。
レジ脇に傘が売られているのを発見し、一緒に傘も購入した。
思えば、自分が稼いだお金で自分の好きな物を買うのは初めてのこのとだったかもしれない。

買ったパーカーを羽織り、店を出ると雨は先程よりも強くなっていた。
買ったばかりの傘を開く。
デザインを確認することもなく適当に買ったが、とても綺麗だと思った。
赤い生地にいくつもの花が散りばめられたデザイン。
それを見てなんだか嬉しくなる。


「ふふ」


小さく笑う。
なんだか、すごく久しぶりに笑ったような気がした。

さて、これからどうするか。
人通りの少ない場所に行くのはまだ怖い。
けれど時期に夜になり、ガヤガヤとしたこの街も途端に静寂に包まれるだろう。
早く寝床を探さなければ。
適当なビジネスホテルでも探そう。
そう思い、ホテルを当たるが、未成年1人での宿泊は受け付けられないだの、親の同意書が必要だの、少女1人を受け入れてくれる場所はどこにもなかった。
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