大学生になりたい
「アヤノはクラス馴染めてるの?」
「馴染めてたらこんなところに居ないわよ」
そう言って今度は古文の単語帳を開く
「世の中は
むなしきものと
知る時し
いよよますます
悲しかりけり」
単語帳の例文を音読するアヤノ
世の中の悲しみを嘆いている歌だ
今のアヤノのクラス内事情に重なるのだろうか
「アヤノもたまには準備手伝いに行けばいいじゃん
面倒くさいけど意外と楽しくて息抜きにもなるかもよ」
お節介と分かりきったことをあえて提案する
「…また考えてみるね
そんなことよりチナミもう18時半だよ
そろそろ電車くるんじゃない?」
「あ!やばい!片付けなきゃ
アヤノは夏休みもお迎えで帰るの?」
「迎え来ないと帰れないからね
バイバイ気をつけて」
いつも通りアヤノを残して旧校舎の図書館を出る