階段落ちたら異世界に落ちてました!

族長会議のその後Sideハーバイト

初めて会ったのは世代交代後の初めての族長会議で。


マールはそれは可愛くも綺麗な羊人族だった。

俺は長年番が見つからず今世で番とは出会えないのだろうと思っていた。

鳥人族長になり最初の150年くらいは鳥人族に新たに子が産まれれば祝と称して見に行くも尽く己の番では無かった。
その後は他の領地の別種族の可能性も考えあらゆる領地を巡ったが出会えてなかった。

そうして、100年ほど前に自身の番は今世では出会えないのだと。
この半分の空白は埋まらないと覚悟を決め余生を穏やかに送ろうと過ごしてきた。


それがこの羊人族の族長交代で行われた族長会議で覆された。


マールに出会った瞬間ピンと来た。


やっと、俺の半分の空白を埋める存在に出会えたと身も心も歓喜に包まれた。



だが、マールの方はそんな素振りは一向に無い。
まだ番を探していないのか?

そう思ったが歳を聞いて納得した。

マールもまた番は自領地で何度となく探しては見つからず諦めたのだと。


それゆえアンテナが受信不良を起こしていた。


何とか気付かぬものかと苦慮している所になんとマールの領地に落ち人が落ちてきたという。


その知らせを聞き王都までの落ち人移送を任された。

落ち人は現在番の無い現王陛下の番の可能性が高いからだ。


蛇人族の族長ケイリーも拾い乗せてマールの領地へ飛んだ。


落ち人はまだ年端もいかない少女だった。

ケイリーが色々説明すると少し涙を流したあと気丈にもその心持ちを立て直した。

この子ならきっと良き現王陛下の番となるだろう。


そうして落ち人を送ってから数ヶ月後


久しぶりの族長会議。


マールに会うとやはり空白の埋まる感覚に歓喜する。


我慢出来ずにどんちゃんとした宴会と化した夜会からマールを連れ出して話をした。



俺もなかなか動けなかったヘタレである。


450年生きてきてやっと得た番は至福に尽きる。


これからは共に生きられる。
俺はそろそろ早めの世代交代を予定していたからそれをさらに早めてマールの領地でゆっくり生きていくことにした。


陛下も穏やかになられていたが。
番を得る事でかなりの安定を得られるとやっと知った。


これから残りの生活は番を慈しみ守り愛して幸せに暮らせるだろう。



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