【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「どんな理由があっても、人の道と言うものは通すべきでしょうが。それとも、そんな簡単なこともわからないわけ?」
王道と覇道の真ん中を歩く彼らが、どんな人なのかなんてわからない。
ただ、一人の人間として、それを見過ごせなかった。
「人の、道ね……」
相馬はそう呟いて、沙耶を見てくる。
目があった瞬間、彼はどこか気まずそうな顔をしたが、すぐに一転し、嘲る顔となった。
「……女なんて、そんなもんだろ?」
出てきた声は、とても冷たく低い。
目を見開いた夏翠、驚いている薫。
幼い頃から、一緒にいる彼らがここまで驚いているのだ。これが彼が普段見せない、本当の姿か。
「女なんて、ブランドを追い求めて近づいてくる。俺の持つ、権力が欲しいためだけに寄ってくるんだ。正直、相手にするのも嫌なんだが……仕方ないだろ?俺は、相手をしなければならない。兄さんの代わりに、家を守らなければならない」
それが当たり前なのだと言う彼は、どこか悲しげで。
「女なんて、信じる方が無駄なんだよ」
私と同じものを感じた。
けれど。