【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「あんたの過去に何があったかなんて、知らない。知ろうとも思わない!けどね!?」
相馬の頬に止まっていた沙耶の手が、静かに力なく落ちた。
「……だからって、言っても良いことと悪いことがあるでしょう?」
そこで初めて、相馬は自分の発言が間違っているときがついたみたく、口を手で覆った。
「……先に戻る」
恐らく、彼の本音だったのだろう。
女をあそこまで憎むなにかが彼にはあったのだ。
それでも。
『女なんて、そんなもんだろ?』
……その言葉だけは、言ってほしくなかった。
彼の言葉は、沙耶の心に深く突き刺さった。