【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「沙耶はあーゆう性格だからね」
一部始終を見ていたもう一人の見知らぬ女は、苦笑する。
「昔から…ずっと、ああやってね、一人で頑張ろうとしている。……悪い子ではないんだよ?優しいし、何でもできるし」
女を一括りにし、蔑んだ相馬に怒った女。
「沙耶も中々の人生を歩んできているから…だからこそ、赦せなかったんだと思う。彼女は、自分の力で生きていくことを望んでいるから」
(…そういうことか)
あの女は、“ちょっと変わった”部類にはいるのだろう。勿論、この女も。
「ねぇ、柚香。沙耶、大丈夫かしら?」
「まあ…そんなので不安定になるほど、沙耶は自分に甘くないから、多分……」
「心配だから、見てきましょうか?」
「だね。沙耶が暴走すると、誰にも……うーん、家族にしか止められないからなぁ…」
「暴走?」
「……昔からね、ぶちギレると、ヤバイの。今日のことは、まだ、大丈夫だけど……」
柚香は何かを思い出すかのように、遠い目をして。
「沙耶が…ううん、沙耶の家族が許せないことがあるんだ。それを消すためになら、沙耶の父親も動くほど」