【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
黒橋グループの総帥が動くとなれば、相当なことだ。
「―…なんだ?それ」
自然と口から出た言葉。
自分でも訳がわからなかったが、彼女の震えていた手、
何故か、忘れられない悲しそうな沙耶の顔。
それを思うと、言葉が出ていた。
「クスリ、レイプ、その他諸々」
「……」
……上がってきた、犯罪の名前に目を見開いた。
「これをする人間は、全部、沙耶たち家族によって消されたわ。この間、夏翠たちが同じ状況に陥っていたらしいけど……沙耶があんなのですむのは、珍しいのよ?再起不能まで、叩きのめす。ブツは勿論、顔だって」
きれいな顔をしていた。
幼い頃からたくさんの美女を見てきたが、沙耶だけは特別に見えるほどの綺麗な女だった。
そんな女が?
そんな相馬の顔を見て、察した柚香は、
「人は見た目ではわからないでしょう?沙耶は良い例だもの」
と、悲しそうに微笑んだ。
「沙耶の動く理由は……女を一方的に蔑まれるのを嫌い理由は…全て、家族のことにある」
友達があまりいないらしい沙耶が、望むこと。
「それは、家族がずっと笑っていられますように」
結婚でも、出産でもない。
仕事での出世でも、夢でもない。
彼女が望むのは、そんな平凡。