【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「沙耶の言った通り、貴方が女を嫌いでも良い。でもね?沙耶は、悪い子じゃないから。表現が下手くそで、面倒臭がり屋で、無頓着な子だけど……本当に悪い子ではないからさ、今回のことは水に流して、見ててくれない?あの子は、沙耶は、本当はとても弱い子だから」
そう言った柚香の瞳には、慈愛に満ちていて。
「本当よ、相馬。沙耶は悪い子じゃないわ。貴方の憎む、あの女とは違う。貴方の知っている女たちとも違う。私のことを初対面でも助けてくれた。笑いかけてくれた。姫宮家の娘と知っても、変わらず、笑いかけてくれたの。私、それがスッゴク嬉しかった。相馬も分かるよね?私が、本当に久し振りに友達になりたいと思ったの。だから、お願いよ。沙耶が悲しむようなことはしないで。したら……赦さないよ?」
狂気の滲む瞳。
低くなった、声。
「……わかった」
超がつくほど不本意だが、とりあえず、頷いた。
何となく、沙耶という女に興味が湧いた瞬間だった。