【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「……皆が笑って、幸せに暮らせていることかな」


恐らく、遠くない未来、私はそこにいない。


なら、私が家族に遺していけるものはなんだろう。


この残り短い命で、何を作れるだろう。


「……そうか」


彼とは、立場も状況も考え方も性別だって違うけど。


「自己紹介」


「あ?」


顔をあげた彼に柔らかく、微笑む。


「まだだったよね?……よろしく、相馬」


手を差し出して。


この短い命でも、救えるかもしれない。


家族だけではなく、彼のことも。


「……よろしく、沙耶」


おそる、おそる、差し出された手を強く握って。


「ん!」


……もしかしたら、それも自分を……自分の心を救いたいだけの私の偽善かもしれないけれど。


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