【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「運動会の種目決めも今日あるし…転入生たちが、ギリギリ入れるくらいかな…」
やはり忙しそうな幼なじみを見ていると、手を貸さないと言う選択肢は、頭に浮かばない沙耶なのである。
「私、走るよ」
毎回、種目決めで困るのが、走る競技。
ギャルの多いこの学校では、誰もがその競技を避けたがる。
「ほんと?無茶しなくて良いんだよ?」
「無茶じゃないよ。体を動かすことは、好きだし」
少なくとも、お洒落よりは好む。
「沙耶がそう言ってくれると、すんごい助かる!」
感情が面に出やすい親友は、手を弾く。
「人がいない競技は、私に全部回してくれて良いから」
「沙耶、太っ腹!」
…相変わらず、大袈裟な幼なじみもとい親友であると、沙耶は密かに心のなかで思った。