【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……お母様は、幸福者ね」
花を眺め、草蘭は笑う。
在りし日の、夕蘭のように。
「……泣かないで」
そっと、娘の手が頬に触れる。
「お母様は、貴方に幸せになって欲しかったんだから。貴方が泣いちゃ、意味ないじゃない」
わかってた。
あいつがそういう人間だってことは。
分かっていたから、腹ただしくて。
目をそらした、真実。
『人を愛すって、難しいね』
はにかんだ、お前に会いたい。
この腕に抱き締めて、伝えたい。
(失ってから、気づくなんて……)
“その通り”だと。
未来がわからぬ、我らは後悔無きように生き抜くのは、無理かもしれない。
それでも。
伝えておけば良かった。
何があっても、信じてるって。