【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「いや、そういう問題じゃ……」
「いちいち、うっさいわ。ほら、はよ、これに目ぇ通し」
相変わらず、横暴な姉である。
「はいはい……」
突っ込むのも、流石に何年もやっていたら疲れてきたので、とりあえず、言われた通りにすることにした。
「……これ」
封筒を開け、愕然とする。
「華西高校への編入届けや。書いといてな」
ニッコリと笑う姉。
「誕生日プレゼントや。嬉しいやろ?」
転入=仕事を減らしてくれる……確かに嬉しい言葉だった。
だが。
(あの女がいるじゃないか……!)
姉さんの笑顔は、その時、生まれて初めて本物の悪魔に見えた。
確かに俺はこの国では権力者だけど……姉の持つ、姉という権力にだけは逆らえそうにないと、肩をおとした。