【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「いやー、なんか良い手みやげない?って、水樹に聞いたらさ、最初は頑なだったんけど、夕梨の写真あげるっていったら、釣れたんだよね~」
やはり、単純な水樹くんであった。
恋人が一番な彼は、恋人のためなら、家族でも売る。
そんなやつである。
「うん、チョロいよね」
悪人顔の真琴さんは、とっても楽しそう。
「ほら、相馬~?不機嫌にしてないで、笑ったら?」
明らかに遊んでいる彼女。
「やめろ」
完全にキレている相馬に、物怖じもしない。
おまけに……
「よ、スケコマ……ううん、相馬!」
「おう……って、おいっ、お前、今、スケコマシって言おうとしただろ!?」
「あ、バレた?ごめん、癖で」
「癖って……お前、まさか!」
「ご名答。話すときは、スケコマシで話してたからさ」
確かに、相馬の名前ではなく、スケコマシと聞く回数のほうが多かった気がする。
いや、言い直し?
相馬に何を言われても、動じない沙耶はふと、思い付いたように言った。
「腹へった」
色気のくそもない沙耶は、財布をポケットから取り出して、一人でうなずく。
「食って帰るか」
……お嬢様らしからぬ行動である。
だいたい、このタイミングで、お腹すいたって……
笑ってはいけないことだとわかっているが、可笑しい。
間違いなく、火に油なので、耐えていると。