【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「沙耶、お腹、すいたの?」
「うん。だって、お昼ご飯が早かったんだもん」
現在、時刻は7時過ぎ。
まぁ、なにもしてなくても、お腹はすく時刻である。
「ってことで、食べて帰るから。またね、夏翠」
目の前に揃った面子よりも、腹が減っているという事実のほうが大事らしい沙耶は、言いながら、歩き出す。
「おいっ、ちょっと、待て!」
だからといって、こんなところに置き去りにされる相馬くんではなく。
聡いからか、この先の状況を理解できるらしい。
「えー、お腹すいたんだってば」
唇を尖らせる、沙耶。
「俺も連れてけ!」
どんな手を使っても、この場に残りたくないらしく。
「えぇー、面倒」
「つべこべ言うな!何でも、奢るから!」
「えっ、マジ!?じゃあ、いいよ、行こ」
……うん、よもや、お嬢様ではない。
奢られると嬉しそうな沙耶は、相馬の手を引いて、歩く。
相馬が女と歩いているなんて、よく見る光景なのに、違和感ばかり、沸き上がる。
「うん、強者ねー」
笑いすぎてでた涙をぬぐいながら、真琴さんはそう言った。