【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「もっと言っちゃえば、父さんのお金じゃん?私が好きに使う権利とかないし。父さんも私が望まない限り、何も与えないし、貯金は沢山あるんじゃないかなー。父さんの地位は、父さんのものであって、私のものじゃないし……だから、あんたの回りに群がっていたメスどもが胸を張れる理由がサッパリなんだよね」
けど、言っている内容が正論過ぎるし、相馬もそう思っているので、何も言えない。
「いや、あんたみたいに稼いでるなら、話は別よ?こうやって、あんたが稼いだ金でご飯を奢って貰ってる身から言うのもなんだけど」
「……ちゃんと、弁えてるんだな」
「え、そう?」
キョトンとする沙耶は、微笑んで。
「あんたも真面目になんなよー?女の子でも、良い子は沢山いるんだから」
彼女が初対面でぶちギレた理由は、何となくわかる。
自分がやっている行為が、最低ということも。
「……ま、あんたにはあんたの理由があるんだろうけど。初対面で、シャンパンをぶっかけて悪かったね。私には、分からないあんたの世界があるのにさ。あれは、反省してる。本当にごめん」
でも、沙耶は謝るのだ。
自分の非は、認めて。
「いや……俺も、軽はずみで言って悪かった。ちょっと、幼い頃に……」
言いかけて、喉が詰まる。
あれを話すに、俺はまだ、覚悟ができていないのか。
思わず、自分を嘲笑した。
「ワリ……」
やっぱり、話せそうにないと思ったとき。
「……むぐっ!」
口に何かが詰められた。
「ほら、食べて」
言われるままに、それを食べる。
すると、饅頭みたいなものの半分をかじりながら、沙耶は言った。