【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
守りたいもの
□薫side■
「桜、どうしようか……」
白いシーツの上に横になる少女の髪に手を通しながら、俺は一人で呟いた。
白い肌は彼女の淡さを増幅させ、それを囲うような長い黒髪は、少女の性格からは考えられないくらいの儚さを象徴する。
「桜……」
静かな病室のなかで、動かない桜の手を握る。
冷たいそれを暖めるように、口元に運ぶ。
けれど、彼女が目を覚ますことはない。
桜が植物状態になって、早二年。
体は生きているのに、目覚めてくれない桜。
『薫!前を向いて!』
『あんたはさ、私の側にいてくれるよね……?』
数々の交わした言葉が、反芻する。
「黒橋、沙耶……」
彼女のことが気になるのは、桜に似ているからだろうか。
それとも……
自分が前世で1番初めに認めた女だからだろうか。
毅然として、本当の思いを隠すのが上手な女。
前世も、現在も変わらない。
「あいつは、相馬の唯一無二になれると思うか……?」
薫には、珍しい弱々しい声。
返事の来ることのないそれは、ただ、独りでに響いて……静かさと絡み合いながら、消えていった。
「桜、どうしようか……」
白いシーツの上に横になる少女の髪に手を通しながら、俺は一人で呟いた。
白い肌は彼女の淡さを増幅させ、それを囲うような長い黒髪は、少女の性格からは考えられないくらいの儚さを象徴する。
「桜……」
静かな病室のなかで、動かない桜の手を握る。
冷たいそれを暖めるように、口元に運ぶ。
けれど、彼女が目を覚ますことはない。
桜が植物状態になって、早二年。
体は生きているのに、目覚めてくれない桜。
『薫!前を向いて!』
『あんたはさ、私の側にいてくれるよね……?』
数々の交わした言葉が、反芻する。
「黒橋、沙耶……」
彼女のことが気になるのは、桜に似ているからだろうか。
それとも……
自分が前世で1番初めに認めた女だからだろうか。
毅然として、本当の思いを隠すのが上手な女。
前世も、現在も変わらない。
「あいつは、相馬の唯一無二になれると思うか……?」
薫には、珍しい弱々しい声。
返事の来ることのないそれは、ただ、独りでに響いて……静かさと絡み合いながら、消えていった。