【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
……今回は……
バシャッ……!!
……水攻めだったらしい。
「―っ!……うへぇ……炭酸ですかい」
甘いにおいがするし、髪はベタベタ。
「水攻めならぬ、炭酸攻め……」
はぁ、と、私がため息をついたとき。
怒りに染まっていた、女たちの顔が青ざめた。
見間違いなんかじゃない。間違いなく、だ。
高慢で、私が炭酸を浴びて、笑っていた厚化粧の顔が青くなったのだ。
見間違いであるはずがない。
「―……何やってんだ?てめぇら」
振り返って、目に入ったのはまさかの相馬と蒼生。
「わ、私たちっ……そんなつもりじゃ……」
必死に言い訳する女の子。
「……じゃあ、どういうつもり?沙耶に炭酸なんかかけてさ、何する気だったの?馬鹿なの?馬鹿なんでしょ。可哀想だね、あんたらの脳みそ、誰かにやったら?」
私以上に毒舌な蒼生は、私を見上げる。
「大丈夫?」
「ん。慣れてるし。ただねぇ~炭酸洗い流したいっていうか……」
「チッ」
相馬の舌打ちで、女たちは逃げるように去っていく。
「蒼生、今の女たちをメモっとけ」
「えっ、何する気?なにもしなくていいからね?」
御園と焔棠の正式な情報屋である楪家が連携してすることは、多分、ろくなことではない。
つか、女遊びしているこいつが言うか?
「……大丈夫だ。悪いようにはしないから……多分」
「自信持っていってよ!つか、あんたが怒る理由ないよね?」
「ある。俺らは、あんなやつらの所有物じゃねえ」
「んなの、知ってるわ!そういう意味じゃなくてって……あー、家の鍵、今日は兄貴が持ってるし」
早退して、家に帰ろうと思ったが、今日は兄貴が帰ってくるらしく、鍵は兄貴が持っている。