【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「……お前さ、さっき、誕生日おめでとうって言ったよな?」


夏翠に教えてもらった、微かな情報。


弱々しかった相馬に、なにか声をかけたくて、言った言葉。


「……俺にとって、誕生日は祝われる日じゃなくて、懺悔をする日だった」


「……」


「母さんがな、言うんだよ。生まれてこなければよかったのにって。何度も、何度も。そして、最後には気が狂ったように、俺を自分を捨てた父さんと重ねて、泣き叫ぶ。それが、当たり前だった」


精神崩壊。


そんな言葉が思い浮かんだ。


「父さんはただ、母さんを助けたかっただけなのに」


夫婦のすれ違いが相馬を傷つけ、相馬のお母さんを死に追い込んだのか。



「家の重さが、母さんを死に追い込み、父さんの母さんを救いたいという願いが、母さんを殺した」


御園家。


この国で力ある家として、すぐに名が上がるこの家は、今までどのくらいの人を傷つけ、葬ってきたのだろう。


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