【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
”御園相馬“
なんて、自分勝手で、最低な男なんだろうと思った。
けど。
この時ばかりは、彼が小さく、小さく、見えて。
愛してほしかったと嘆く、
幼い子供に見えて。
「相馬、おいで?」
来るか来ないかも分からない、多くの犠牲を払わなければ手に入れられない未来を、彼は追い求め続ける。
何を傷つけても、
自分の身を削いでも。
自分よりも大きな、そんな彼を抱き締める。
「……沙耶?」
目を見開く、あなた。
「出来るよ」
私は、彼の中に小さな彼を見る。
幼い相馬。
彼に微笑んで。
「誰よりも、優しい貴方なら、大丈夫」
初対面では、イラついた。
でも、そのあとからは私を救ってくれた。
嫌な顔をしても、あなたは弱い人を見過ごさない。
最低なことをしても、人の涙を誰よりも嫌うあなたは、誰よりも、誰よりも、優しいと私は思うから。
「貴方が願う未来を、私も見てみたい」
表の姿に繁栄を。
裏の姿に滅亡を。
頼らなければ、生きていけないなんて、誰が言ったんだろうね?
私が過去の傷を抱えるように、あなたも抱えて。
そっくりな私たちは、
お互いを守るように、
抱き締め合う。
「私はね……」
まだ、過去を話す勇気はないけれど。
あなたの傷を癒す手伝いはできるから。
私の生きる目標に、
彼を守りたい。
……それが、加わった。