【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
誰が為に
『沙耶ちゃん、これはなあに?』
みんなの賑わう声。
私からすれば、縁遠いもの。
『家族の絵を先生は描いてって言ったよね?』
確認するような、保育園の先生の優しい声に、クレヨンを片手に、沙耶は首をかしげる。
『そうだよ。家族の皆だよ。これが、大兄ちゃん』
小さな、沙耶の指は絵を指して。
『これがね、お父さんと朝陽』
沙耶の顔には、笑みが刻まれる。
『この二人がお母さんとアイラで……』
心底、楽しそうに。
それこそ、子供のように。
『最後にね、これが勇兄ちゃん!』
笑う、六歳の沙耶。