【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
□沙耶side■




「初めまして、千羽相模です。千羽家当主、千羽暁良(せんば あきら)の長男で、若の側近です。で……澪の夫です」


長髪。


切れ長の薄紫色の瞳。


服は……何故か、着物。


「会いたかったっ!相模!」


ギューッと、夫に抱きつく澪は、幸せそうで。


相模さんの冷たい顔も、どこか柔らかい。


「……じゃ、次、俺ね」


声がした方に、顔を向ける。


「初めまして、千羽甲斐です。弟と義姉がいつも、お世話になってます。紗夜華の旦那です。よろしく」


こちらも、長髪。


兄の相模さんとは違い、低めのところで括ってある彼の髪は、背中に流れて。


「……あれ?」


「どうかしましたか?」


紳士的な行動が窺える、彼の瞳。


「色、違うんですね」


お兄さんは薄紫色だったのに、何故か、甲斐さんは金色である。


「ああ……目の色ですか?本来なら、ここでカラコンと言うのですが……沙耶さん相手に隠す必要は、ありませんよね?」


甲斐さんは振り返って、相馬に確認をとる。


その行動に相馬は頷いて。


「これは、生来のものです」


頷き返した甲斐さんは、そう微笑む。


相馬に確認した意図が全く読めないが、そこはこれから話す内容と関係があるんだろう。


深くは突っ込まないことにした。


「生来……ってか、よく見てみれば……」


薫、相馬、千歳、闇璃、風斗、光輝、叶夢、大地、蒼生、水樹、氷月……


「全員、目の色おかしい!」


「……今更?」


初めて気づいた事実に私は驚くが、私以外は誰も驚いていない。……そう、真姫と柚香でさえも。


「気づいてたの!?」


「当たり前でしょ?ってか、大声出さないの。上から、お兄さんたちが飛んでくるよ?」


柚香の注意に、そうだったと口をつぐむ。


何か、いろいろと修羅場っている兄たちは、それぞれ二階の部屋に押し込んだ。


この場にいられても、困るからだ。


兄たちのことをよく理解している柚香は、指先を口元に立てて。


それを見届けてから、再び、辺りを見回した。


薫、相馬、千歳、闇璃、風斗、光輝、叶夢、大地、蒼生、水樹、氷月の順に、赤、薄緑、群青、黒、白、菜の花、若紫、茶、瑠璃、水、銀……


「……人間らしい色、闇璃と大地ぐらい?風斗に至っては、ただ、色素が薄いのかなと思ってたんだけど……」


どうやら、違うらしい。


「……これで、夏翠に聞かせられない話なのは、理解してくれた?」


「もちろん!カラコンじゃないんでしょ?どういうことなの?」


遺伝子とか、そんなものでもないならば。


明らかに、人の手で証明できるものではない。




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