【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……理解、出来るか?」
「う、うん……?なんとか、だけど……つまり、天界の国にそれぞれ生まれたあんたらは、たった一人……天界で何よりも大事な姫を守護することになったと言いたいんでしょ?」
沙耶は、確認するように聞いてくる。
「そうだ。そして、その娘の名を月姫(げっき)と言った」
「月姫は勝手に天から降りて……人間界で恋に落ちて、最後には子供をおいて、力を使って消えちゃったわけでしょ?でも、それってさ、ちゃんと、役目は果たしているじゃん」
確かに、月姫は役目は果たした。
ただ、その役目の果たし方が、問題で。
「果たしているが、ダメなんだ」
「……なんでよ?」
「天界のものは、人間と交わってはいけないという決まりがある。不浄なものを取り込むからな。だから、人間と契りを結んだ天の者は、大抵が人間界で暮らしてる」
「……」
「月姫は可愛がられ、蝶よ花よと育てられたくせに、一番大事な役目を……子を作ることを、しなかったんだ」
それが、彼女の最大の罪。
沙耶は悲しそうに、目を伏せる。
「じゃあさ、あんたらは幸せになってほしくなかったの?月姫に……彼女も、女の子なのに」
幸せになってほしかった。
それは、間違いない。
けれど。
「……月姫の勝手な行動のせいで、多くの人間が犠牲になったと言ったら、お前はどうする?」
人間を救うべき姫。
その姫が、人間を傷つけた。