【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「御意」


炎樹は、礼をとった。

姫として、俺を扱ってくれた彼女に、心から、尊敬の意を込めて。


「ありがとうの……」


淡かった姫は、一言呟くと、目を閉じる。


「あなたに伝えてほしいと、手紙以外に桜華から、言付かりました。
―――あなたのことが本当に好きでした。
 守ってくれて、ありがとう。
 どうか幸せになってね。
 あなたが幸せで在ることを心から願います。
 巫女としてでも、側にいられて幸せだった。
 愛しています。さようなら。
……貴方がいてくれたお陰で幸せだったと、言っていましたよ」


告げられた言葉。


それに隠される意味。


愛しい人が動かなくなって、気づく。


骸となって――……


自分の気持ちに気づいてしまう。


< 284 / 425 >

この作品をシェア

pagetop