【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「お前には、かなわないよ」
炎樹は一筋の涙を流して。
「――……認めるよ」
強く、美しかった。
主に重ねていた。
けれど、それよりも。
「お前は、月姫じゃなかった……」
炎樹は顔を手で覆って。
涙は頬を伝って。
「――……お前が好きだった、愛してた」
静かに床に落ちた。
そこには、憎らしいくらいに力を表す炎の花が咲いた。
それを見て、思う。
(人間だったら………)
炎樹は巫女の髪に触れ、愛しげに目を細める。
どのくらいの時すらも忘れられる。
トン、と、背中を押してくれるのは、誰の手だろうか?
耳に唯一届いたのは、懐かしい笑い声。
――……愛しい人の声だった。