【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「おい、氷月!何でそんなに落ち着いてんだよ!」
何かあったのか、すごい取り乱している弟。
だが、そんなこと知ったこっちゃない。
「おい、水樹、ここ会社、俺、仕事中。よって、五月蝿い。帰れ」
「ちょっ…それが可愛い弟に対する扱い!?ひどっ!」
(…可愛くねーし)
「そんな嫌そうな顔、やめてくれない!?」
軽く染めた茶色い髪に、女みたいにパッチリとした瞳。
「お前のそのテンション、キモい。何だよ、水星の時はそんなんじゃなかったろ」
「水星はあくまで水星だから。俺は俺」
にっこり笑った水樹。
間違いなく、水星はこんなやつじゃなかった。
確かに気持ち悪いのは、変わらないが…いつも、澄ましてて、本当に水の神なんだと思ったのを覚えてる。
「あ、で、用件!」
…間違いなく、こんなやつじゃなかった。