【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「お嬢様かぁ……」
ベットヘッドに寄っ掛かり、沙耶は宙を仰いだ。
正直、家のことを気にしていないわけではない。
けれど、所詮、沙耶は女だ。
夏翠みたいに完璧ならまだしも、中途半端な人間である。
そんな私が家を継げるはずはない。
何より、世間では、私は二人兄弟だ。
父さんが一度離婚しているから、その前妻との子供が大兄ちゃん。
後妻との子供が、私。
もっと、面白いのは、前妻と後妻が双子ということ。
父さんは世間からみれば、最低な男であるが、実際は母さんしか見えていない野郎である。
そこは、ひとつの事情。
でも、そう考えると、父さんには長男がいるということなんだから、私が会社を継ぐというのはおかしい。
兄ちゃんが継いでくれればな……と、淡い期待を抱いているが、一体、どうなるのだろうか。
そもそも、父さんは殺しても死ななそうだが。