【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「……黒橋……」


「……はい?」


ボヤーっとしていた沙耶を現実世界に引き戻したのは、綺麗な声の持ち主。


「黒橋、沙耶……?」


いや、訂正しよう。


声以上に、見た目がヤバイ。


美しすぎる。


ショートカットの黒髪に、パッチリとした瞳。


「はい、そうですよ。何か、ご用ですか?」


だれかに似ている気がするが、今はそんなことはどうでも良い。


イケメンよりも、美女が好きな私は、目の前の女の人に対する興味を消しきれないでいた。


鮮やかな赤い着物を着たショートカットの美人さんは、病室には入ってくると。


寄ってきて、私に手を振り上げた。


(殴られる……っ!?)


思わず、臨戦態勢をとろうとしたとき。


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